2009年5月11日月曜日

4/17(金) 曇 " Goring & Streatly ~ Steventon 他" - イングランド・舞台美術 探訪

まだ時差が残るのか体が落ち着けていないのか普段より早く目が覚めた。

昨晩ジョンと話して、今日は彼の仕事に同行することになった。



ジョンは福祉の仕事の従事しているのだが、実はその仕事の縁で昨年末に日本へも再度旅行に来たのだ。
彼がこの時お世話をしている人がとてもユニークな人物で、なんとBBCでも紹介された事がある。そして昨年の日本旅行もBBCの関係で僕の友達のジョンとその彼が一緒にやってきた。
その時は彼らはインド、日本と旅をした。

.…そうだ、思い出したけど、彼らがインドを発った前日にムンバイで同時多発テロが起きたんだった。彼らは確かに危機一髪で事件には巻き込まれなかったけど、実際に現地では建物等が爆破され、人々は… 
彼がテロ1日前のムンバイ市内で撮影した平穏な町の様子の数枚の写真を僕に見せてくれたっけ。彼ら2人は難を逃れられたけど、自分の友達なだけにあまりに身近な出来事に感じて怖くなったのを覚えている…。

…話を元に戻そう。


ジョンの仕事に同行するということは、その彼 “オットー” にも会えるって事。

嬉しいねー!こんな機会が待っているとは思わなかった。

なぜ同行できるのかというと、この日オットーは地元のvillage hallでそれらの旅の映像を交え、オットー自らがBBCのテレビカメラと観客の前でプレゼンをするのでその準備をちょっとだけ手伝ったり、そのショー?を見たりしましょう、ということだったから。

勿論、イエス!で参加することに。



ジョンの車に乗り込むと、30分くらいのドライブだよ、とのこと。



家を出るとまずは昨日来た道を通ってGoring&Streatly stn.を横断。
すると、突然現れたとても可愛らしい町並み。

ホントに絵本の中みたいだ!

赤い煉瓦と昨日みたReadingの教会に使われていた壁に埋め込まれているあの石。
そんな石積みの、背の高くない建物が続いている…。

そして続いて渡るのがテムズ川だ。
この辺りは観光化しているみたいで船や川沿いのホテルもあった。
でもだからといって決して町並みを乱している訳ではない。
ホテルも景観に溶け込むように設計されている。

日本の観光ガイドには勿論載っていない小さな町だけど、とても美しい街です!

一目で好きになりました!


橋を渡るとそこからが実は "Streatly" になるのだ。
手前(友達の家側)は "Goring" となる。
だから駅名が二つ合わせて

"Goring&Streatly"

なのです。


少し走ると街を抜けた。


ジョンが“30分のいいドライブだよ”といっていた意味がすぐに分かった。

今度は眼前に果てしなく続く丘の畝…そしてそこには綺麗な緑色の牧草と悠然と空を飛ぶ鳥の姿が。菜の花畑も見たことがないスケールで所々に広がっている。犬も羊も馬も…。


・・・本当にこんな景色があるんだね・・正直な感想です。


何度も舞台美術制作(バックドロップ—背景画)で風景を描いてるけど、今ようやくその本当のスケール感、空間感を知りました。

ここに来て本当に良かった!と思った瞬間です。

嬉しかったなー。
この感覚、経験は僕の一生の宝物だね。


背景画制作の仕事柄このような生の体験に飢えていた所もあり、あまりにも夢見心地だったためと感動のため反対に本物の風景を素直に受け入れられなかった自分がいたりして思わず、

—僕はイングランドにいるんだよねぇ、ジョン?

と変な質問をしてしまったくらいだ。



しばらく黙ったまま周りの景色を楽しむ・・・。



・・・しばらく走るとまたチラホラ家が見えてきた。
オットーのいる町、



'Steventon' だ。 小さな町です。



オットーの家に着き、ジョンと共に家に入る。
ジョンの仕事場でもある。

中には数名のヘルパーさんと、他にも介護が必要な病のある子達がいた。
かんたんに挨拶を済ませて待っていると、今日の主役‘オットー’がやってきた。

数ヶ月ぶりの再会だ。


これからどうやら彼はインドで手に入れた民族衣装に着替えるようだ。
その衣装を着てカメラとみんなの前でプレゼンをするということだね。


着替えも終わり、ジョンと僕は会場のVillage Hallへ移動。
道ばたにに立てる手作り看板を運ぶ手伝いをしつつ…ね。


どこの町にも教会とvillage hallはある。要は集会所だね。

中ではヘルパーさんと女性メンバーで成り立つ…えーと単語忘れた…色々お手伝いをしてくれる、協会?の方々がテーブルの用意をしていた。
脇にはオットーとジョンが旅先で手に入れた思い出の品々が置かれている。


…まだ時間がかかるからということで外を散歩してみた。


外でスタッフのひとりに会うと、彼女はいいことを教えてくれたんだ。
village hallの裏手にある小道を少し歩くと随分古い時代(教えてもらったけど何世紀頃かメモるの忘れた)に建てられた家が並んでいるとのこと。
ここは背景幕制作者として願ってもないチャンス。すぐにその小道に入り建物を見に行くことにした。




すぐにそれらを見ることが出来た。何だかタイムトリップしたような感じ。
木の梁、漆喰壁、そして何より家が古くてねじ曲がってる!さっきも書いたけどここもまた絵本の世界だ。スケッチしたいけど残念、今日は時間がないや。
それにしても補修しながら住んでいるとはいえ、よく立ってるよな。地震大国日本ではおそらくあり得ないね。
またいい物を見させてもらったな〜。バレエの舞台美術制作(主にバックドロップ)をするときにはヨーロッパの建物についてよく疑問に思うところがあって、それらを解決するのにこのように建物を間近で見れるという体験はとても貴重だ。



さて、ビレッジホールへ戻ろう。



少ししてBBCの撮影スタッフが2名到着。
そうとは知らず(介護スタッフだと思ってた)とりあえず挨拶。



そんなこんなでいよいよオットーのプレゼンの始まり!
タイトルは “ Otto's overseas odyssey ” だったな。




カメラに向かって最初のあいさつ。
病を持っていることを感じさせないほど上手に話す。 …たまにきつくて判断しにくいジョークを言っているらしいけど。でもお客さんを乗せるのは上手だったよ。



インド、日本、そして最後はアメリカを紹介したんだけど、日本の紹介映像には僕が連れて行った剣道の稽古見学や歌舞伎座の帰りの銀座などが映っていた。役に立ててよかった!
しかも! 壇上のオットーが、日本から来た友達のMotoだよ、と突然僕を紹介!
彼が、“Motoに挨拶をして!”とお客さんみんなにふれば当然皆さんから“Hello Moto!"と来る訳で、僕も“Hello everyone!” って返すんだけど、実はその時に、聞き取れなかったけどオットーからもう一つフリがあったらしい。ステージに上がって来てと言っていたようなんだがカメラはこっち向くし最初のフリに気をとられていて僕には聞こえていなかった。かといって聞こえていたとしても上がる勇気は無いけどね。笑
その後は彼らが最近訪ねたアメリカの映像とオットーの好きなカラオケが一曲入って(お客さんの手拍子がメチャクチャで笑えたけど)プレゼン終了。
オットーよくやりきったね。素晴らしかった。


会場を片付け、オットーの家に帰る。昼食を頂いた後はもう一撮影。


ジョンとオットーのドライブをカメラが追う。
そして僕はなんとそのBBCスタッフの車に同乗させてもらいジョンの車を追った。
まさかこんな経験までするとは思わないよね。撮影の仕方やカメラマンがほしがるカメラアングルや映像がわかっておもしろかったよ。車内ではスタッフと話せなかったけど撮影後に、さっきのプレゼンの中で出てきた日本の映像の中でジョンが歌っていたひどいカラオケの歌の話や、プレゼン最後にお客さんがしたおかしな手拍子の話をしたっけ。


もう一度オットーの家に戻る。

今日の撮影は終了のようだ。すなわちジョンの今日の仕事も終わり!
お疲れジョン!きっと今日の仕事は彼にとっても大変な任務だったと思う。
その甲斐あって本当にいい発表だったと思うよ!



帰りも同じ素敵な道で帰る。

ジョンがまた一つ教えてくれた。
さっきも書いた町の名前Goring&Streatlyの事なんだけど、テムズ川を挟んでジョンの住むGoringはBERKSHIREエリアの端、StreatlyはOXFORDSHIREの端、でお互い大きな範囲の丘の合間にある町らしい。

こう聞くとなにも面白くはないが、もう一つ聞くと何故わざわざ駅名がGoring&Streatly
と繋がっているかも分かる。

この国では“町”区画のあるところだけに町名がつき、それ以外の例えば牧草地だけの土地にはそういった町名はないらしい。日本なら人が行かないような山奥でも町の境目はきっちり決まっている訳だけどここでは違う。集落がなければその区域は大きなくくり(州)BERKSHIREやOXFORDSHIREとだけ呼ばれるらしい。でも確かにあれだけ広いと境目がはっきりしたら逆に行政上管理しづらいだろうね。

要するにGoring&Streatlyは希有な地域って事になるんだ。町と町が繋がって存在しているからね。

色々教えてくれる友達ジョン、いつもありがとう!



4/17(金) 曇 " Goring & Streatly ~ Steventon 他"

2 件のコメント:

  1. 今、MOTOさんと一緒にイギリスを旅しています

    ・・・って気分でここまで一気に読みほしました。

    すごいなぁ~行動力あるわぁ。
    MOTOさんは世界をまたにかけるゲイジツカですね!

    英語はふだんどこで勉強してたんでしょうか?
    壮大な記録、続きが楽しみです!

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  2. himekusakiri さん,

    コメントありがとう!
    文章下手だけどなんとなく旅の足取りが伝わっていてくれたら嬉しいな。

    自分自身の記録のためにもなるべく事細かに(長〜いけど)
    書きたいんだけど最近ブログまで手が回らなくて書けてません。
    でも楽しみにして読んでくれる人がいるのだから頑張らなきゃ!


    英語は、独学、我流だよ。
    でも友達のおかげもあるな。メールもやりとりするしね。

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