2016年6月29日水曜日

西方の間

 
 
舞台美術デザイン、その役割を頂く機会は常にあるわけではありませんが、
今回いただいたお話はその中でもとても特別な内容となりました
製作側の、はっきりしないお話ですが書き留めておきたいと思います。

バレエシャンブルウエスト トリプルビル 公演 の内、2つの作品。
どちらも創作バレエ。 一つは再演の作品(18年前が初演)の 時雨西行。
もう一つは田中祐子先生が演出、振り付けをされた あやとり。

時雨~ では、今までは専用の装置が無かったシーンである西行法師が訪れる江口の君の部屋を。
そして、
あやとり では、その作品の美術全般を担当させていただくことに。

時雨西行。
今村・川口 両先生から具体的なイメージ、必要な道具種のご説明をいただきました。
こちらからはシンプルながら印象が残るようなデザインを、と。実は少々冒険を含んだ提案をさせていただきました。
そのような絵柄の提案にも、両先生はその図案を基に合点の行くようさらりと、本当にさらりと正解のプランへアレンジくださいました。柔軟なそのお考えに感心しきりです、いつも。。はい。。m_ _m 

その後はいつものように思い切り描かせていただきました!





田中先生の新作。 あやとり。
小説家 篠田節子氏の  長女たち  がモチーフになっています。
音楽はChilly Gonzales "Chambers"より。 

最初にお話を伺った時には先生の中ですでに表現したいものが決まっていました。

プランを部分的に提案しているうち。。。これは一筋縄では、、途中で覚悟を決めました。

靄の中から何かを掴み取ろうとするその作業、一番大変なのは先生です。
手助けになれるのか???と何度も思いましたが、とにかくいろいろ提案してみようと。
それなら答えを見つけながら、作りながら進めばいいじゃないかと。よし、我らも柔軟性を持って行こう!と取り組みました。
身につけるモノ。降らすモノ。押す/引くモノ。抜くモノ。切り離すモノ。
我らが本番直前まで手をかけなければならないモノたち。
普段の我らの製作物とは異なり、"動き"が伴います。ここがとにかく、、、ムズい。
だからこそ最後の最後まで付き添わなければ。

その他にも専門の方にご協力をいただいて、、ホントにわがままを聞いていただいて作ったものが有り…m_ _m  
ちなみに特筆は透明な箱型のオブジェです。大きいです。それに役割も意味合いもとても大きい!
振り付けに関してもあかりが入っての演出効果もこれじゃなきゃ成し得なかった。

その他、舞台監督さん、照明家さん、大道具さん、また多くの方々にご意見を頂きながらなんとか本番を迎えることができました。

思い出しただけでもいろいろと。まだ緊張を覚えるという。マスクも糸も、それからぁぁあぁぁ…
先生や踊り手にはきっともっと繊細で多くの物語があったことかと。我らよりもはるかに多く。

今も主観・客観入り乱れてますけれども、最終的には作り手としての喜びがやっぱり勝るのでしょうか。
普段の製作にも自ら何らかのスパイスを効かせるようにしているつもりですが、
今回は蓋を外してかけた?くらい刺激的でした、とにかく。
関わる皆さんが作る素敵な瞬間、場面がたくさんありました。< 全くもって書ききれず申し訳ない。
先生、新作の発表(2016.6.19)、おめでとうございました。

そしてバレエ団の両先生、このような機会を本当にありがとうございました。 次!待った無しでいきます!!




Chilly Gonzalesの音楽、好きです。
そしてまたまた余談ですが、
スタッフの一人は本番終わっても尚、道具装飾作業の夢を見ていたそうな。
自分は、”砂” の夢を見るかと思いきや一度も見なかった。。。

同バレエ団は大忙し! 公演が続きます。
今年も山梨・清里には野外ステージが現れます。

ウチも鋭意製作中です!








● 西方の間














2016年6月21日火曜日

スタジオ便り 2016前半戦

  
 
光陰は、、矢だ。


こんにちは。


2016上半期を強気に振り返る今日は6月21日。


写真がなく報告できない製作物もありますが、行きます。


さて、年明け頃は夏の準備、やってました。野外バレエに向けて!です。

ちなみに↓は提案のうちの一つでした。懐かしい。
現在は異なるプランですすんでいます。
どんな製作になるでしょうか。





そして、何十年ぶりか、あの玉ねぎの下に行きました。
コンサート、とは呼ばない長寿(設定)のアーティストのセットに関わらせていただいて。
通路では大変尊敬する和尚とも呼ばれる方とすれ違い十分承知の上、でかっ、
という感想が8割だったり。^^;







こちら↓もバレエ。来年へ向けて。
自分的にNG案。引き出しへしまうのです。







テレビも久々に。パネル書き割り、色々なデザインがありました。




↓ラフなプランから作画しながら提案中。
そういうこともあります。描き手ならでは、かな?




その中、ペン画スケッチを依頼され起こしたものが
そのまま出力にかけられてパネルになり、セットの一部になりました。

出力技術は見慣れていますが、実際に自分の手が関わっていると不思議な感覚になりますね。
      



そして、そして。
何でしょうこれ。

  
一泊二日、K氏企画による房総研修ツアー。ありがとう!
濃密でした。

千葉県、土気にあるホキ美術館(やっと行けた)から、
↓画伯 安井曾太郎氏も滞在、製作を行った、画家が泊まる宿、江澤館へ。
本当に多くの画家さんの作品が飾られています。


波の伊八で知られるその伊八の欄間彫刻を観に行元寺へ。葵の御紋が輝いていました。
↓は、山門。 本堂にもありますが、ここには公儀彫物師の高松又八の彫刻が。


 伊八の波。

伸びやかで、うねり、広がりがあって、力強い。それを繊細に木彫りに落とし込んでいるのだから圧巻です。欄間ですから決して大きいものではありませんがダイナミズムはそのサイズ感を超えています!
鑑賞には立って近くで眺めるのではないですよ、日本間ですから畳に座って見上げるんです。確かにその通り。さらに素晴らしいことに気付かされます。これは写真ではわからないところですね。




で、はい、スタジオ。

貸し出し幕、また次を作りました。
以前紹介しましたが、上下手に配置する柱の幕4組(柱計8本)です。

 ボンド女子。

絵の下の方には取り外し可能な台座部分があります。
台座まで装備して高さ9メートルほどの柱幕。
台座を外すとマイナス1.2メートル(=7.8メートル)の柱になります。




↓は英国からの輸入生地。
製作が入れ替わり立ち替わり、でしたが、
森の絵紗幕もデザインから製作させていただきました。






↓ピカピカ〜を作ったわけではありません。奥に縞が見えますね。





他にもつい最近製作があったミュージカル用のドロップ。

その他、立体物もありました。


今回このような駆け足な内容でお送りしました。
色々ありました。。。

で、最後の立体物、となっている物。(プラス書き割り幕も)
次回お話ししたく、珍しくすぐにブログを更新する予定です。

それと、やっとあらたなホームページを開設できました。
左上の案内リンクからご覧くださいませ。
現段階荒削りですが、どうかよろしくお願いいたします m_ _m




 ● スタジオ便り 2016前半戦