2012年2月4日土曜日

製作のことー



先月下旬の話になるが(もう2月が始まり日は刻々と過ぎて行く事に驚き…)、
前回とは別件のオペラ舞台美術製作のお話。


舞台奥に設置する、床から180cmほどの高さで舞台幅一杯の横長のパネル画。


ご依頼主さまは仙台にある舞台美術製作会社 " ファクトリー K " の今野様。
今野さんは様々な舞台製作に携わる中、やはりオペラの舞台美術・製作も数多く手がけられている方なのです。

昨年あの震災後に、これも話を聞くと不思議なタイミングで初めてお会いする場があり、そのときから、“いつか一緒に作画製作を”と話をしていただいていました。

そう、それが今回実現したのです!!




大まかな舞台セッティングのスケッチは見せてもらいましたが、大本のデザイナーさんのイメージを基に我々はより具体的なイメージスケッチを起こして製作を待ちました。

欧州、
聞くところによると今回の舞台設定はドイツ…とか(上の写真は実製作物の一部)。
その田園風景。収穫の頃をパノラマに表現です。
オペラの演目はドニゼッティ作曲の“愛の妙薬”。←まだ書いてませんでしたね。


AM10時頃、今野さんとスタッフの方々が到着。 
ですが到着後まもなく、ざっと製作の流れを打ち合わせさせていただき作業開始。
長旅のところすみませんっ。



・・・さてと、

自分がイメージしたこと…

ヨーロッパで田園…といえばイギリスで見たことのあるあの田舎の風景。
自分にはそれが一番のイメージ材料。 (ドイツじゃないのね -_- ; )

実体験があまりにも少ないけど、そのときの印象で十分というか、それが必要だと思う。
その他詳細は参考写真を探したりしてパノラマ風景の原画(といってもモノトーンでね)を作り上げて…。

探しあてた資料の中には北海道の風景もあり、当方スタッフとの打ち合わせの中でもやっぱりその一枚は‘日本’だってばれる。
似て非なるものが存在するんだよなぁ。不思議だよね。
 
だから尚のこと写真だけには頼れない。

といって描き手それぞれのイメージを一致させることは難しい。

…んで、ね、ぶつぶつとこう書いている時点でどんどん曖昧になってゆく。笑


それから、舞台セットはこのパネルだけではないのは言うまでもなく、今野さん製作の今回メインとなる道具とのバランスも考えてうまくいくように画面の表情に気を遣って最後まで行きたい、と。


こうなってくると、製作物の大きさも考慮すると一人で描いた方が良いのでは〜?となってくる可能性が・・・でも…。

このケースでなくともその方が描き手の思うとおり進んで良い仕上がりになる、と安易に予測出来るし否定できないところなのですが、それではわれわれのような舞台美術制作の価値あるところが見えてこない。
あくまでも道具の一部であり、お客さんに伝えるべきはそれら道具がひとかたまりになって見えるって事が大事でさ。

いつでも見えない時間や労力がかなり占めています。でもそれがないと同じゴールへは向かえないから。


今回の製作は難しい点を百も承知で請けさせていただき・・・というより今回は、上でも言ったような理由から道具製作者の方と直接話し合いながら、確認しながら一緒に作れることがうれしくて。


製作中は、自分が迷っている部分を相談できたり、絡んでいる実際の道具も見せてもらい進める方向を決めたり…反対に恐れ多くもあーして欲しいこーして欲しいと製作の世界の先輩に向かって伝えなければいけなかったり…。


この期間はとても貴重な機会であり、始まってみるとあまりにあっという間でしたがとても濃い時間を共有出来たと思っています。

 
あ〜結局自分の頭の内ばかり、しかも展開も考えなしに書いてしまったなぁ。



ファクトリーKの皆様、製作期間中はお世話になりました。
いろいろなお話も聞けて大変興味深かったです。
そんなこんなで公演も終了されたことと思いますが、今度は振り返ってお話が出来る時を楽しみにしております。

そしてまた製作をご一緒出来ますように!




● 製作のことー



 
・・・パネルの積んであるトラックには他の道具も積まれてありましたが、その中には津波の影響を受けた物があると伺いました。実際に見たそれはもちろん壊れている訳ではなく100%舞台上で機能する道具なのですが・・・あの事態に直面していない我々にはすべてを感じ取ることは決して出来ませんがそこには小さな爪痕ではあるけれど現実が刻まれていました。
現在東北では舞台興行においても大変な苦難がともなっていると思われますが、数々の発表を続けられている皆さんの力強い姿が今回の製作や日々のネットワークから伝わってきます。

舞台制作の面くらいでしか応援ができない自分の存在ですが、この先も微力ながらお役に立てますよう努力を続けていきます。



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