2009年6月23日火曜日

4/18(土) 晴 "~Henley on Thames, Wallingford, Pangbourne" - イングランド・舞台美術 探訪

イングランドのお話、続きます。


おはようございます。窓の外は明るい。今日はいい天気でスタートのようだ。
昨晩はアルコールも入っていたのと、ここに慣れてきたのとでよく眠れたようだ。

シャワーを浴びて出掛ける準備しなきゃ。


今日はきっと忙しいぞ。Jが僕を連れ回してくれるようだ。うれしいねー、楽しみだよ。



適当に朝食を頂き、たまった洗濯ものを洗濯機(旅先では本当に助かりました)で洗う。
今これからヘクター(犬くんの事ね)と一緒に散歩をしに行こうというからその間には洗い終わるだろう。



散歩。 非常に地元密着型?の行為だが、こういうのも求めていたものの一つだ。
何が見られるか楽しみ。


さぁ、ヘクター行こう!


少し歩くとまたまた可愛らしい家が建ち並んでいた。
カメラに撮りたかったけど、Jもいるしあまりパシャパシャやって迷惑掛けたくなかったから残念だけど写真は無し。

…ある角をを曲がると小道に入った。

Foot Path

公共の小径と言えばいいのかな? たとえば広い牧草地を横切るのにこのフットパスを使う。
ていうかこれはあるのが必然だと思う。土地がひろいんだからさ、プライベートエリアとパブリックはうまく共存しなきゃ。

そうこうして入っていくのは“ビーチ”の木、の林だ。Jの後をついて行こう。




このビーチの木、みんな背が高いけどバランスが面白いね。
林の木の枝は日がよく当たるてっぺんの方に向かって伸びるのは分かるけど、根本と高いところの枝の比率が日本人の意識からすると少し極端な気がする。
上の方の枝はまず本数が多いというか枝振りが混み合っている。毛細血管のようだ。
そしてグニャグニャした印象が強い。他の場所で目にする違う種類の木もそんな印象だな。

写真じゃ分かりづらいけど日本とは明らかに景色が違った。だから空気も違う感じ。
説明できないのが悔しいけど、この時受けた感覚はすごく大事だ。
舞台美術の話になるけど、背景画(ドロップ)で森の中や、それともただ'木'を描く場合、やっぱり日本国内で目にする木立のイメージで描いてしまう。
当然そうなるよね。だって身近で、しかも幼いときから見慣れているものだから。
だから西洋の人が描く木立は不思議な感じを受けていた。どこか受け入れがたいものがあるんだな。身体が反応してしまうんだ。
実際に海外から来たドロップ(森の絵)を見たときにも感じた事がある。この木、描き方面白いなーって。でもそうじゃないんだよね、本当に違うんだよ。頭ではわかっていたさ。だけどここで目の当たりにして確信したよ。

次からは誰にでも自信を持って言えるね。“本当にこういう景色なんだよ”って。
自分の絵も変わる?・・・でもこれで風景を描くときにためらいが出るかも。描画に思い切りが無くなってしまったりして…。

・・いやちがうよね。乗り越えよう!そしてこの景色も自分のものにしていこう!



あー、かなり独り言のようになってしまった。
読み辛いかもしれませんが、なんとなく僕のオタク的興奮が伝わって頂けたら幸いです。笑



そしてまたここイギリスで逐一思うけど、


・・・本当に来てよかったな!




— ヘクタ—との散歩は続く。


続いてJが教えてくれたのはこの植物。

Holly



柊だよな、これ? …でも見たこと無いほどの茂り方で、茎も太くて長い!
まるで緑色の鉄条網だ。そんな背の高さ以上もある柊の固まりがこの林中に広がっている。
なんだか少し気味が悪いくらい…、そんな中をくぐり抜けて進んだ。


Holly の 森 だ。 だから友達に質問してみた。
アメリカのハリウッドはどういう意味があるのかな?と。

“おもしろいね”と言われただけだったがどうなんだろう…?

実際に今調べてみるとやっぱり思った通りそのままで、その丘に自生するカリフォルニアホリーという種の柊が由来のようだ。でもって英と米では発音が違うんだろうね、読み方がホリーかハリーに分かれるところだと思う。でも日本では“ハリー”ウッドだよね。


…散歩に戻ろう。


更に進むと…よりいっそう深く、暗くなってきた。
そして日本の林などとはやっぱり空気感が違う。
写真の様に遠くが白い。特に霧がかかっている訳ではなく、自然にそう見えているんだ。

本当に魔女でも出てきそうだね。

細かい枝振りのせいなんだろうなーなんてまじめに考えながらも、ちょっと怖いです。










左下隅を歩くのはJとヘクタ—。




そしてこの森を抜けるとぉ…

























すーげー!!!

なんだこの風景は!!

誰かがそこに模型作って、そして置いた — みたいだよね。丘とか点在する家や木々とか…。

経験のない広大さを目の前にただただ驚いてしまった。

この地に立ってしっかりと自分の目で見ているから分かるこの感じ!
スケッチをしたいとかそう言う次元ではなかった。
もちろん舞台美術の一制作者としてこういう風景を見られることを期待してここイングランドへ来ている訳だが、どうして良いか分からない自分が居たんだよね。
嬉しいのやら、逆に当惑してしまうやら…全部含んで…


…しあわせだー!!


昨日までの天候で遠くはかすんでしまっているが、晴れている日にこれを目の当たりのしたら自分はどうなっていただろうか!?

丘という言葉、存在は知っていてもこのスケールで見たことがないというか…。
今まで丘という言葉を大したイメージを持たずに使っていたことがよく分かった。
そりゃ歌にもなるよね。♪おかーをこーえーゆこーおよ〜  …牧場ばっかりだけどね。

そう!ほんとに牧場としての丘ばかり!! 山がない!

今立っているここも丘の上(中腹?)だが、遠くを見てもおか、オカ、丘…だ。

どうしよう…さっきも書いたけど、次に風景のバックドロップ(舞台の背景画ね)を制作するときは…、
これ見ちゃったからきっといろんな事考えちゃうんだろうなぁ。


でもこれで大きなやり甲斐が出たぞ! 挑戦、挑戦っ!!


ここで折り返して戻ろう。


良いものを見させて貰ったんだけどショックが大きくて思考回路がついて行かない。
帰る道中はあまり思い出せないな。
さっきの光景をなんとか頭に焼き付けておこうとするんだけど…全部は無理。
第一印象を大切にしておこう。それがせいいっぱいの努力だ。
あー…地球は…すごいね。



フットパスから元の道へ戻り、次に向かう先は…この町のChapelです。
これは僕のリクエストだ。Jにあらかじめ伝えてあったからね。


朝から目白押しだな今日は…。願ってもないことだけど…もう一つ身体が欲しい。




さて、教会なら日本でもあるけど、僕の興味は勿論その建築。
特に大小の教会問わずにその内部を見てみたい。






行ってみよう。よろしくJ!


この町 "WOODCOTE" の教会だ。





















とても綺麗に手入れのされている印象。
建物は小さくてもとても落ち着いた雰囲気だね。

写真集などではなかなか見られないような非常にローカルな教会を見ることが出来た。

中へ入ろう。

…静かにドアを開けて薄暗い室内へ緊張しながら一歩…。

普段宗教のことを強く意識しないけど、ここは基本的にクリスチャンが訪れる訳で、僕は言ってみればエイリアン、さすがに色んな意味で意識せざるを得ない。

内部ではシャッターは切れないな。よーく見て、そして感じておこう。

興味を惹くものがそこかしこにある。

Jに色々質問したり教えて貰ったりして、どの教会にも共通して備え付けてあるものを知ることが出来た。(この後の旅程でもいくつか連れて行って貰ったのでまた追記したい)



で、僕の最大の関心事である建築に関してなんだけど、特筆すべきは外壁の石!


上の写真で見られるけど、壁の大部分を覆う石が分かるかな?

Jの家に来る前に立ち寄ったReadingにある教会でも見かけたあの石壁と同じだ!
そしてGoring & Streatly 駅周辺の家々でも使われているのを見たぞ。
ここは是非彼に訊かなければ!

その石の名は

"フリントストーン"

だって。 
  …で、何でこの石が汎用されているのかというと、

とても頑丈。そして環境に対して変化しない、風化しないということのようだ。
言うことはもっともだ。外壁にはもってこいの素材な訳だね。

そのうえ見た目も面白い。アップの写真はないかな?…あった。Readingで撮ったものだ。
この写真だと右側に見える黒い石



面白いでしょ?

なんだか海の中にありそうな感じのする表面を持っている。
だからといってごつごつ・ざらざらはしていない。
所々窪んでいるけどとても滑らかな表面だ。




これを書きながらflintの意味を調べてみたよ。

“火打ち石,火打ちの道具”とか“(ライターの)石,発火石”…ほか“堅いことから無頓着・冷酷の象徴”なんてのもあった。


この地域は、イギリスに関心のある人、イギリス好き、の多くが知っていると思うコッツウォルズ地方に近いようだが、その地方で見られる建物の様子と大分違う。
写真などで見る限り、コッツウォルズの代表的なお家のイメージは蜂蜜色。壁の色が黄色っぽいのだ。(Jが言っていたけれど、英語では "gold" と表現するらしい)
でもここら辺のは黒っぽい外壁に赤い屋根が特徴。

どうしてだろうか?

使われている石材が違うのは見れば分かるけど…。

これは質問しなかったな。後で調べなきゃ。






》》》つづく。更新をお楽しみに…。

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