2012年3月18日日曜日

ウォークオン!

今は新宿文化センター近辺のコーヒーショップ。

東京小牧バレエさんの公演を観劇後。

演目のうち、ジゼルの美術で関わらせていただき、その本番確認も含め客席から拝見させていただきました。
と、うちの話しは後に回して…


3演目中、マダレナ という作品に最も興味を持ってここに来ました。
400年前の岩手の隠れキリシタンの伝説、悲話をもとにした作品で、10年前の初演後、その内容の重さから再演の可能性が低かったそうですが、震災後時間経過の後、反対に東北の方々からの要望の声が上がり、今回再演に至ったよう。

静寂の中、鎮魂歌が流れ幕開け。
そこには白装束達が形作る大きな十文字と、背景のお堂にはやはり大きな十字架が薄明かりの中浮かび上がる…
巡礼中の一行、白拍子マダレナはマチアス半兵衛と結ばれるがそこには弾圧の手が伸び…。
踏絵を頑なに拒むマチアスはその場で処刑され舞台は狂乱の様相。
その後、マダレナ、マチアス一統は自首、縄を受ける。
本編を菊地団長の黒・白の後藤寿庵(キリシタン武士)による仕舞・天空の舞で括り…

あまりの悲劇でした。そして悲しみはバレエ団が見事に表現しているからこその感情移入の顕れ。
幕が降りた時は涙としばし放心でした。

…団長の舞は被災地へ向けて黙祷のごとく感じました。とても穏やかな…

・・・この先は電車で…

その後、そんな気持ちもブラックスワンの舞踊で救われたような…。力強いパ・ド・トロワでした。
第3部ジゼル ー
昨年うちが別件で作らせていただいた森背景を使用するとのことで、それならジゼルの墓標製作はうちで、とご依頼を頂き、切り出し書き割りパネルを用意しました。
製作した背景幕も明かり入りの現場で確認出来るのも初。どんなジゼル2幕になるだろう…と緊張しながら。
それは素敵なあかりともちろん舞踊(やはり裏方目線になってしまいます…)があって見応えあるジゼル2幕でした。
ラストは希望の朝焼けに映りました。
自分の方は…良かった点もあるけど反省と勉強課題ばかりで。でも次につなげるのが大事!
…ただ、この先推したい意見として、やはり景毎の専用装置を用意しなければ今一歩足りないものがあるという事。以前から思っているけど改めて強く思う。色々な都合があることは百も承知ですが。

舞台背景の描き手としてこの仕事に携わりはじめた14年前、最初に劇場の現場へ製作確認で来た場所。(あれ以来現場として来てないのです)
今は…深い思いを伴った公演本番に立ち会い、自らは今度はスタッフを連れて製作物を確認しに来ている…。
受け止め切れない気持ちは多くあるけど、この好きな仕事を続けられている自分がいるのは確か。
舞台機構や先端のマテリアルはどんどん進化するけど、変わらず良いものってのもある。
人の心が動くのは、やっぱり人が考え、生み出し、そしてバランスをとった作業の果てにあると思うから。

感謝と同時に言わせて下さい・・・
この先も描き続け、創り続けます!

今日はありがとうございました。

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